インプラント治療の骨造成とは?種類・費用・手術のメリット・デメリットを解説

 

骨造成イメージ

インプラント治療において、骨造成(こつぞうせい)とは、骨が不足しているためにインプラント体を骨に埋め込むことができない場合に、顎の骨の量や高さを増やすことを目的とした外科手術です。

この、インプラント治療に必要な骨造成についての治療法や手術の種類、費用、メリット・デメリットから術後のセルフケアの方法までを品川御殿山クレイン歯科が詳しく解説します。お気軽にご相談下さい。

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骨造成とは?インプラント治療で必要になる理由

インプラント治療を検討されている方の中には、「骨量が不足しているため、事前に骨造成が必要」と説明を受け、疑問を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

骨造成とは、インプラント体を顎の骨に確実に固定するために、不足している骨の量を補う、または高さを増すための外科的処置の総称です。

インプラントにおける骨の役割

インプラント治療では、失われた歯の代わりに人工の歯根(インプラント体)を顎の骨に埋め込みます。
このインプラント体が周囲の骨と結合することで、天然の歯に近い安定性を実現し、快適に物を噛む・咀嚼することが可能になります。

この骨との結合(オッセオインテグレーションといいます)を確実にするためには、インプラント体を埋め込む部位に十分な量の顎の骨が存在し、その骨が健全な状態であることが不可欠です。

骨の量が不足していると、インプラントが安定せず、治療の成功率が低下したり、将来的なトラブル(ぐらつき、脱落など)のリスクが高まります。

なぜ骨が足りなくなるのか

顎の骨が不足する主な要因はいくつか考えられます。

  • 進行した歯周病:歯周病が進行すると、歯を支えている周囲の顎の骨が細菌によって徐々に溶けて減少してしまいます。
  • 抜歯後の長期経過:歯が抜けた後、その部分の顎の骨は咀嚼による刺激を受けなくなり、時間とともに吸収が進み、痩せてしまうことがあります。
  • 外傷や事故:事故や物理的な衝撃により顎の骨が損傷し、欠損が生じることがあります。
  • 先天的な骨量不足:生まれつき顎の骨の量が少ない、あるいは骨の密度が低い方もいらっしゃいます。
  • 全身的な影響:骨粗しょう症など、骨の代謝に影響を与える全身疾患が顎の骨量に影響を及ぼす可能性もあります。

骨造成が必要となるケース

以下のような状況では、インプラント治療を安全かつ長期的に成功させるために、骨造成が必要となる可能性が高まります。

  • ●インプラントを埋入する予定の箇所の顎の骨の幅が狭い場合。
  • ●インプラントを埋入する予定の箇所の顎の骨の高さが不足している場合。
  • ●上顎の奥歯の部位で、骨の厚みが不足してインプラントを埋め込むスペースのすぐ上に上顎洞(副鼻腔の一つ)がある場合。
  • 抜歯後、長い期間が経過しており、広範囲にわたって骨の吸収が進んでいる場合。
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骨造成の主な種類と治療法

骨造成には、患者様の顎の骨の具体的な状態や、インプラントを埋め込む予定の場所に応じて、複数の異なる術式が存在します。

GBR法(骨誘導再生法)

GBR法(Guided Bone Regeneration:骨誘導再生法)は、骨が不足している領域に骨補填材(自家骨、人工骨、またはそれらの混合物)を配置し、その上を特殊な生体適合性のある膜(メンブレン)で覆う方法です。

このメンブレンは、周囲の歯肉などの軟組織が骨再生を妨げる領域に入り込むのを防ぎ、骨を作る細胞が優先的に増殖できる環境を確保することで、骨の再生を誘導します。

主に、インプラント埋入部位の骨の幅が不十分な場合や、部分的に骨の高さが不足している場合に適用されます。

サイナスリフト(上顎洞挙上術)

サイナスリフトは、上顎の奥歯にインプラントを埋入する際、インプラントを埋め込むための顎の骨の厚みが、その上にある上顎洞(じょうがくどう)と呼ばれる空洞との間に不足している場合に行われる手術です。

通常、歯肉を切開し、顎の骨の側面に小さな窓(側方アプローチ)を開けます。
そこから上顎洞の底を覆う粘膜(シュナイダー膜)を慎重に持ち上げ、そのできたスペースに骨補填材を充填して骨の量を増やします。

比較的広範囲の骨量増加に適しており、インプラント埋入とは別のタイミングで行われることが多いです。

サイナスリフト

サイナスリフトのイメージ図: 上顎の奥歯の上にある上顎洞(サイナス)の粘膜を持ち上げ、骨補填材を充填している様子。
※シュナイダー膜:上顎洞(上顎の骨の中にある空洞)を覆っている粘膜のことです。

ソケットリフト

ソケットリフトも上顎の奥歯の骨の高さが不足している場合に用いられる術式ですが、サイナスリフトと比較して、必要とされる骨造成の量が少ないケースに適用されます。

この手術では、インプラントを埋め込むために開けられた穴(ソケット)から専用の器具を挿入し、上顎洞の底の粘膜をわずかに押し上げます。そして、その押し上げたスペースに骨補填材を充填して骨の厚みを増します。

この方法は、インプラントの埋入と同時に行うことが可能な場合が多く、患者様への負担も比較的少ないとされています。

ソケットリフト

ソケットリフトのイメージ図: インプラント埋入用の穴から上顎洞底の粘膜を押し上げ、骨補填材を充填している様子。
※オステオトーム:骨を切断したり、整形外科手術で骨を形成するために使用される手術器具です。

自家骨移植と人工骨の違い

骨造成手術で用いられる骨補填材には、主に患者様自身の骨である自家骨と、人工的に作られた、あるいは他の生体から加工された人工骨があります。

自家骨: 患者様自身の顎の骨の一部(親知らずの抜歯跡など)や、その他の部位(下顎枝、腸骨など)から採取した骨を移植する材料として用います。
自家骨は患者様自身の組織であるため、生体との適合性が非常に高く、拒絶反応や感染のリスクが低いという大きなメリットがあり、また、骨の形成能力に優れています。

しかし、骨を採取するために別途手術が必要となり、その部位への負担が生じる点がデメリットです。

人工骨: 人工的に合成されたリン酸カルシウム系のβ三リン酸カルシウム(β‐TCP)純度98%以上のものか、ハイドロキシアパタイト系(HA)の2種類が主に使われています。
自家骨を採取する必要がないため、患者様の体への負担を軽減できるというメリットがあります。

生体組織との適合性も高いですが、自家骨に比べて骨への置換(自分の骨に置き換わること)に時間がかかる場合や、親和性が自家骨に比べてやや劣るため、まれに拒絶反応が起こる可能性があります。

現在では、人工骨を使用することがほとんどです。

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骨造成手術の流れと治療期間

骨造成手術は、インプラント治療をより確実に成功するための重要な一歩となります。

初診から手術までの流れ

  • 精密検査と診断: まず初診時に口腔内の状態を詳細に診察し、歯科用CTスキャンを用いて顎の骨の三次元的な形状、量、密度、そして神経や血管の位置などを正確に把握します。
  • 治療計画の策定: 精密検査の結果に基づき、患者様の骨量不足の程度や位置を考慮し、最適な骨造成法(GBR、サイナスリフト、ソケットリフトなど)とインプラント治療全体の計画を立案します。この際、治療期間、費用、リスク、メリット・デメリットについて、患者様へ詳細かつ分かりやすく説明し、十分に納得いただいた上で治療同意を得ます。
  • 骨造成手術の実施: 決定した計画に基づき、局所麻酔、または患者様の希望や手術の規模に応じて静脈内鎮静法などを併用して手術を行います。手術時間は、選択された術式や骨造成の範囲によって異なります。
  • 骨の治癒期間: 手術後、骨補填材が患者様自身の骨と結合し、十分に新しい骨が再生して強固になるまでの期間を設けます。この期間は、骨造成の範囲や患者様個人の治癒能力により変動します。

術後の注意点と治癒期間

骨造成手術後の骨の治癒期間は、選択された術式や骨の再生能力に個人差がありますが、一般的には3ヶ月から6ヶ月程度を要します。場合によっては1年間程度要すこともあります。

この期間を経て、骨補填材が新しい骨に置き換わり、インプラント体を埋め込むのに適した状態へと成熟していきます。

骨造成を行う場合、インプラント治療全体の期間は、この骨の治癒期間に加えて、インプラント体を埋入した後の骨との結合期間(通常3~12ヶ月)、さらに人工の歯を製作し装着するまでの期間(通常約1ヶ月)がかかります。

そのため、骨造成を伴うインプラント治療の全体期間は、骨造成を行わない場合と比較して、おおよそ半年から1年程度長くかかることが一般的です。

インプラント治療全体の期間の目安については、以下の図をご参照ください。

骨造成を含むインプラント治療期間の目安
インプラント治療期間の比較

術後の注意点は以下の通りです。これらを遵守することで、治癒を促進し、合併症のリスクを低減することができます。

  • 安静にする:手術当日は、激しい運動や飲酒、喫煙を避け、可能な限り安静に過ごすようにしてください。
  • 処方薬の服用:歯科医師から処方された痛み止めや抗生物質は、指示された用法・用量を守り、忘れずに服用してください。
  • 食事内容の配慮:手術部位への負担を避けるため、しばらくの間は柔らかく、刺激の少ない食事を心がけましょう。
  • 口腔衛生の徹底:術後の感染予防のため、歯科医師の指導に従い、手術部位を優しく、しかし清潔に保つための口腔ケア(うがい薬の使用など)を行ってください。手術部位を直接強く磨くのは避けてください。
  • 定期的な経過観察:骨の治癒状況や口腔内の状態を確認するため、歯科医院での定期的な検診を欠かさないようにしましょう。
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骨造成の費用相場と保険適用の有無

骨造成手術は、インプラント治療の一環として行われることが多く、その性質上、比較的高額な費用が発生する傾向にあります。

基本的には骨造成は「保険適用外」

インプラント治療と同様に、骨造成も日本の公的医療保険制度の適用外となる自由診療です。
そのため、治療にかかる費用は全額自己負担となります。
骨造成の費用は、実施する歯科医院や、選択される骨造成の術式、使用する骨補填材の種類や量によって大きく異なります。

保険適用される場合

非常に限定的なケースですが、顎骨の病的な疾患(例:顎骨腫瘍の切除後)や、重度の外傷(例:交通事故による顎骨の広範囲な欠損)など、インプラント治療を目的としない、明確な疾病治療の一環として骨造成が必要と診断された場合に限り、保険が適用される可能性があります。

しかし、これは一般的なインプラント治療に付随する骨造成には当てはまりません。ご自身のケースがこれに該当するかどうかは、担当の歯科医師にご確認ください。

品川御殿山クレイン歯科での費用の目安

品川御殿山クレイン歯科における骨造成の費用目安は以下の通りです。

これらの費用は、患者様の骨の状況、選択される術式、使用材料によって変動いたします。

詳細な治療費については、精密検査とカウンセリングを経て、患者様一人ひとりに最適な治療計画とともに明確にご提示させていただきますので、まずはどうぞお気軽にご相談ください。

  • 骨造成(全体的な処置):¥66,000(税込)~¥165,000(税込)
  • ソケットリフト:¥88,000(税込)
  • サイナスリフト:¥176,000(税込)
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骨造成のメリットとデメリット

骨造成は、インプラント治療を可能にする上で極めて重要な役割を果たす一方で、そのメリットと潜在的なデメリット、リスクを十分に理解しておくことが肝要です。

骨造成のメリット

  • インプラント治療の適用が可能:骨量が不足しているためにインプラント治療が困難であると診断された患者様でも、骨造成によって治療の可能性が広がります。
  • インプラントの長期間の安定性が向上:十分な骨量と適切な骨質が確保されることで、埋入されたインプラント体が顎の骨とより強固に結合し、治療後の長期的な安定性と機能維持が期待できます。
  • インプラント治療の成功率が向上:骨の量が不十分な状態で無理にインプラントを埋入するリスクを回避し、骨とインプラントの適切な結合を促すことで、治療全体の成功率を高めます。
  • 将来的なリスクの低減:骨とインプラントがしっかり結合することで、インプラントがぐらついたり、脱落したりする将来的なリスクを軽減し、インプラントの寿命を延ばすことに繋がります。

骨造成のデメリットとリスク

  • 治療期間の延長:骨の再生には一定の治癒期間が必要となるため、骨造成を行わないインプラント治療と比較して、全体の治療期間が長くなります。
  • 費用負担の増加:自由診療であるため、インプラント本体の費用に加えて、骨造成の費用が別途発生し、総治療費が高額になります。
  • 外科手術に伴う身体的負担:外科的処置であるため、術後の腫れ、痛み、内出血などの症状が現れる可能性があります。これらの症状は一時的なものがほとんどですが、個人差があります。
  • 感染のリスク:手術部位が細菌感染を起こす可能性はゼロではありません。
  • 適切な口腔ケアと抗生物質の服用により管理されます。
  • 神経損傷のリスク(まれ):下顎の骨造成の場合、ごくまれに下顎管内の神経に影響が及び、一時的または永続的な唇や顎の知覚麻痺が生じる可能性があります。
  • 上顎洞炎のリスク(まれ):サイナスリフトやソケットリフトを行った場合、ごくまれに上顎洞の粘膜が傷つき、上顎洞炎(副鼻腔炎、いわゆる蓄膿症のような症状)を引き起こす可能性があります。
  • 骨再生の不確実性(ごくまれ):骨の再生能力には個人差があり、予測通りに十分な骨量が再生されないケースがごくまれに発生することもあります。

これらの潜在的なデメリットやリスクについては、治療前に歯科医師から詳細な説明を受け、十分に理解した上で治療を受けることが非常に重要です。

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骨造成後のセルフケアとリハビリについて

骨造成手術を成功させ、その後のインプラント治療を円滑に進めるためには、術後の適切なセルフケアと、必要に応じたリハビリテーションが極めて重要です。

  • 口腔衛生は忘れずに:歯科医師から指示された方法(例:特定のうがい薬の使用、手術部位を避けた優しいうがいやブラッシング)に従い、口腔内を清潔に保つことが感染予防に繋がります。手術部位はデリケートなため、強い刺激は避けましょう。
  • 食事内容への配慮:骨が十分に治癒するまでの間は、手術部位への負担を避けるため、柔らかく、刺激の少ない食事を中心に摂るようにしてください。硬いものや熱すぎる・冷たすぎるものは避けましょう。
  • 禁煙の徹底:喫煙は血流を悪化させ、骨の再生や治癒を著しく妨げます。治癒期間中は、必ず禁煙してください。
  • 飲酒の制限:アルコール摂取は血行を促進し、術後の出血や腫れを悪化させる可能性があるため、歯科医師から許可が出るまでは飲酒を控えるべきです。
  • 安静にする:術後しばらくの間は、激しい運動や重労働は避け、安静を保ちましょう。十分な休息は身体の回復を助けます。
  • 定期的な歯科検診:骨の再生状況や口腔内の状態を歯科医師が定期的に確認することが非常に重要です。指示されたスケジュールで必ず通院し、適切なタイミングで次の治療ステップに進めるよう管理してもらいましょう。

これらのセルフケアを適切に行うことで、骨造成手術の治癒を最大限に促し、その後のインプラント治療の成功率を高めることができます。

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インプラント治療の骨造成とは?のまとめ

インプラント治療は、失われた歯の機能と見た目を回復させるための、非常に有効な選択肢です。
しかし、この治療を安全かつ長期的に成功させるためには、インプラント体を支えるに足る十分な顎の骨量が不可欠となります。

もし骨が不足している場合でも、骨造成という専門的な外科処置によって、インプラント治療の可能性が大きく広がります。

骨造成には、GBR法、サイナスリフト、ソケットリフトなど複数の術式があり、それぞれに適用される症例、費用、治癒期間、そしてメリットと潜在的なリスクが存在します。

ご自身の顎の骨の状態や、どの骨造成法が最適であるかについては、精密検査と綿密なカウンセリングを通じて、歯科医師と十分に話し合うことが極めて重要です。

品川御殿山クレイン歯科では、患者様一人ひとりの口腔内の状態を詳細に診断し、それぞれの状況に合わせた最適な骨造成およびインプラント治療計画を立案・ご提案しております。

患者様に安心して治療を受けていただけるよう、治療内容や費用、リスクについて透明性のある丁寧な説明を心がけ、質の高い医療を提供いたします。

骨造成やインプラント治療に関してご不明な点やご不安なことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

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