前歯のインプラント治療は難しい?その理由とメリット・デメリットを歯科医師が解説
- 「前歯のインプラントはやらないほうがいい」
- 「難しいからできない!」
そんな声を聞くことがよくありますが、実際前歯のインプラントは難しいのでしょうか?
前歯は人に見られやすいため、お悩みを抱えている方も多いことと思います。
今回は前歯のインプラントに関してメリットやデメリットも含めて徹底解説します。
前歯のインプラントをご検討されている方はぜひ最後までご覧になってください。
前歯のインプラントは難しいの?
前歯のインプラントは、確かに難しいことは否定できません。
奥歯のインプラント手術に比べて難易度は高いとされています。
では、なぜ難しいとされているのでしょうか。
それは前歯のみがもっている特性に起因します。
次章の、難しいと言われる理由をチェックしましょう。
前歯のインプラントが難しい3つの理由
前歯のインプラントは、奥歯のインプラントよりは難しいとされています。
その代表的な理由を3つ解説しましょう。
前歯は顎の骨が薄いから
前歯の顎の骨は、奥歯の顎の骨に比べて薄く、厚みがありません。
ご自身でも舌を使って触ってみたらお分かり頂けるかと思います。
インプラント手術は、顎の骨にインプラント体という土台になるものを埋め込みます。
骨が薄いと、その土台を埋め込む手術にかなり繊細な技術が必要となります。
少しでもズレてしまうと、顎を損傷してしまったり、歯茎から透けて見えて審美性が損なわれてしまったりします。
あまりに顎が薄い人の場合は、まず骨を造成する手術を優先することもあります。
これが前歯のインプラントが難しいとされている最大の理由といえます。
歯茎が下がりやすいから
前歯の歯茎は下がりやすいとされています。
インプラント手術をした直後は問題なくても、時間の経過とともに、歯茎が下がってきて、噛み合わせが悪くなったり見た目が悪くなったりする場合があります。
この点も前歯のインプラント手術が難しいとされる理由でしょう。
こちらも顎の骨と同様に、歯肉の移植をするケースもあります。
骨や歯茎の手術によって、時間とお金がかかってしまう可能性がある点も前歯のインプラントに消極的になってしまう理由といえます。
審美性が重視されるから
前歯はお口を開けたときに、特に目立つ部分です。
そこにおいて、前歯1本だけ色味が違ったり形が違ったりしてしまうととても目立ってしまいます。
また、歯だけでなく歯茎も人から見えてしまうので、土台が透けていたり黒ずんでいたりすると審美性を損ねてしまいます。
そういったトラブルを避けるためには、腕の確かな医師の手術が必要になります。
前歯を完璧に手術できる医師は数少ないので、前歯のインプラントは難しいとされています。
前歯をインプラントにする4つのメリット
上記のような理由で前歯のインプラントは難しいといわれていますが、メリットも数多くあります。
そのメリットの一部を紹介しましょう。
見た目が美しい
前歯のインプラントは、他の治療(ブリッジや入れ歯)に比べて仕上がりが美しいことが大きなメリットです。
人工歯の構造が天然の歯に近く、色味も形も本来の歯と遜色ないものを入れることができます。
歯肉や骨を意識した医師の適切な処置は必要になりますが、比較的美しく違和感のない状態にすることができます。
しっかり噛める
前歯のインプラントは基本的に1本の歯が独立している形になります。
ブリッジや入れ歯のように隣の歯と連結させたりしていないので、通常の歯と同等の力で噛むことができます。
しっかり噛んで普段の食事をストレスなくすることができるのは、前歯のインプラントの大きなメリットのひとつです。
周りの歯に負担がかからない
先程説明したように、前歯のインプラントは独立した形で埋め込まれます。
つまり、インプラントをする左右の歯を削ったり負担をかけたりすることなく手術ができ、日常生活を送ることができるのです。
ブリッジや入れ歯はどうしても周囲の歯に負担をかけることになってしまいます。
歯列の健康維持、長期的な保全を考えるとインプラントはベストな選択肢といえます。
寿命が長い
インプラントは比較的寿命が長く、長持ちすることで知られています。
基本的には10年近く保ち続けることができます。
ただし、定期的なメンテナンスをしないとその寿命も短くなってしまう可能性があるので、可能な限り長持ちさせたい方は、しっかりとメンテナンスを行うことを意識しましょう。
前歯をインプラントにする3つのデメリット
メリットもあれば、デメリットもあります。
「難しい理由」で紹介した部分もありますが、改めてチェックしましょう。
追加の手術が必要になる可能性
前述したように、前歯のインプラント手術は顎の骨や歯茎の質に大きく左右されます。
もし顎の骨が薄かったり、歯茎が下がったりするようであれば、インプラント手術をする前に顎や歯茎の造成手術をしなければならない可能性があります。
そういった問題を無視して、インプラントをしようとすると審美性に大きな影響を及ぼしかねないので、費用や時間がかかるというリスクを考慮しつつ手術も検討しましょう。
通院が欠かせない
インプラント手術は人工歯を入れたらそこで全てが終わるわけではありません。
経過をみたり、メンテナンスをしたりと定期的に歯科医院に通う必要があります。
もしメンテナンスを怠ると周囲炎という歯周病のようなものになってしまいます。
必ず医師の指示に従って3〜6ヶ月に1回は通院をするように意識しましょう。
治療費がかかる
インプラント手術は決して安い手術ではありません。
クリニックやインプラントの種類によりますが、前歯の場合は1本30〜40万円が相場とされています。
また、保険適用外なので、全額自己負担になります。
ある程度大きな金銭的リスクがあることも、デメリットといえるかもしれません。
前歯のインプラントの治療期間は?
前歯のインプラントの治療期間は、平均は3〜7ヶ月ほどとされています。
ただし、口内の状況によっては1年近くかかる場合もあります。
前章で説明したように、顎の骨や歯茎の造成手術を行う必要がある方はもっと治療期間が長くなってしまいます。
ただ、大きな問題がなく手術ができる方は3ヶ月かからないほどで手術は完了します。
ご自身の状況と治療期間に関してはかかりつけの医師に相談してみましょう。
前歯のインプラントの治療中に仮歯は入る?
インプラント治療中、仮歯は入れます。
インプラントは、土台となるインプラント体の上に人工歯を入れるという仕組みになっております。
まずは顎・歯茎にインプラント体を埋め込みますが、このインプラント体が安定するまでは仮歯を入れることになります。
その期間は2ヶ月〜6ヶ月ほど。
人によって差がありますので、定期的な通院をして状況を確認するようにしましょう。
前歯のインプラントはどんな医院ですれば良い?
そんな前歯のインプラントですが、きっと皆様安心して任せられる医院にて手術をしたいことかと思います。
そこで、医院選びのポイントとしては、以下の2つを意識することをおすすめします。
・手術経験が豊富なこと
・信頼できること
前歯のインプラント手術は繊細な技術と専門的な知識が必要です。
その点から、前歯のインプラント手術の経験と実績のある医院を選ぶと良いでしょう。
また、患者様ご自身が医院や医師を信頼できるかどうかも指標としましょう。
実際に医院を訪れて、面談をしたりカウンセリングをしたりして、ご自身が納得できる医院を選ぶのが最も良いかと思われます。